シロアリ対策・シロアリ駆除 薬剤の種類と効果は?安全性や選び方も解説!
シロアリ予防・シロアリ駆除を行う中で、重要なのが薬剤。
とはいえシロアリの薬剤って馴染みが無いしどれが良いのか分からないって方も多いのではないでしょうか?
そこで、今世の中に一般的に普及しているシロアリの薬剤をまとめました。
シロアリはご自宅の耐震性を損ね地震に弱くなるだけでなく、断熱材に被害が出ると電気代などの光熱費も高くなります。
また、高額な修繕費も必要になります。
シロアリ予防・シロアリ駆除をご検討の方は、是非チェックしてください。
状況別、薬剤の選び方7選
① 即効性で選びたい場合
即効性で選びたい場合は、合成ピレスロイド系薬剤がオススメです。
今回上げた薬剤の中で唯一即効性がある薬剤です。
ただし、持続性や、巣全体の効果が他の薬剤と比べると劣る部分もあります。
また猫を飼っているご家庭が、合成ピレスロイド系薬剤を選ぶことは注意が必要です。
② 価格を抑えたい場合
ネオニコチノイド系薬剤がオススメです。
人気も非常に高く、じわじわと効果が広がっていき、シロアリが出ている際は巣全体にも効果をもたらしてくれます。
安全性もありますが、より高い安全性を求めるならば、IGR剤など他の薬剤も併せて検討致しましょう。
③ ご家族・ペットの安全性を最優先したい場合
IGR剤、ホウ酸塩系薬剤、アントラニリックジアミド系薬剤、メタジアミド系薬剤がオススメです。
人気のネオニコチノイド系薬剤と同じように、じわじわと効果が広がる特徴を持っていますが、安全性が高く持続性も高いことが特徴です。
ただし、費用がどうしても高くなってしまうため、注意が必要です。
加えて、猫を飼っているご自宅の場合、合成ピレスロイド系薬剤を選ぶことは注意が必要です。
④ 持続性をより求めたい場合
IGR剤、ホウ酸塩系薬剤、アントラニリックジアミド系薬剤、メタジアミド系薬剤がオススメです。
これらは、持続性と安全性を両立した薬剤です。
価格こそ高くなりますが、検討してみても良いかもしれません。
⑤ 人気なタイプを選びたい場合
ネオニコチノイド系薬剤が人気が非常に高いです。
シロアリ対策・シロアリ駆除を考える際には、専門企業からの提案に入るケースも多いでしょう。
ただし、「人気が高い=自宅に合う」というわけではありません。
プロの目により、どの薬剤が良いのかを見てもらい、説明を聞きましょう。
⑥ シロアリ対策だけでなく、防腐・防カビ効果も同時に行いたい場合
ホウ酸塩系薬剤が防腐・防カビ効果もあります。
持続性も高く、安全性も高く、揮発性がないため室内空気環境への影響がありません。
ただし、雨に弱くせっかくの薬剤が流れてしまうリスクがある点と、価格が高くなる点はご注意下さい。
⑦ 床下収納庫、床下点検口がない場合
床下収納庫、床下点検口がない場合、つまり床下への直接的なアクセスが難しい場合はベイト剤がオススメです。
ベイト剤はIGR剤が含まれている毒餌のことです。
ベイト剤は建物の周囲の土壌(地面)に、シロアリが好む餌木やセルロースに有効成分(IGR剤)を含ませた「ベイトステーション」を埋設します。
シロアリがそれを食べて巣に持ち帰り、巣全体を根絶する仕組みです。
そのため、床下へのアクセスが不要になります。
ただ、ベイト剤を扱っていないシロアリ企業も一定数いるため、注意が必要です。
⑧ 自分でDIYでシロアリ対策・駆除を行いたい場合
エアゾール(スプレー)タイプがオススメです。
ホームセンターやドラッグストアで購入することができ、手軽に使えます。
ただし、「手軽な応急処置」や「一時的な部分駆除」に特化しており、シロアリ被害の本格的な解決や長期的な予防には不向きな点をご注意下さい。
ネオニコチノイド系薬剤
ネオニコチノイド系薬剤は、現在日本のシロアリ予防・駆除において最も主流かつ人気のある薬剤の一つです。
即効性はありませんが、効果がゆっくりと現れ、床下や巣の全体に効果を発揮します。
近年ではミツバチへの環境影響が懸念され、海外では一部使用規制の動きがあることも指摘されていますが、人体への安全性・価格面も含め、非常に選ばれている薬剤です。
ネオニコチノイド系薬剤の主な成分
ネオニコチノイド系薬剤の代表的な成分としては以下のものが挙げられます。
- クロチアニジン
- イミダクロプリド
- アセタミプリド
ネオニコチノイド系薬剤の特徴
ネオニコチノイド系薬剤は、シロアリが薬剤を避けることなく巣に持ち帰り、時間をかけてコロニー全体を壊滅させる「ドミノ効果」が期待できます。
また、低臭性・低揮発性で土壌中での安定性が高く、予防効果と施工後の快適性を両立します。
- 非忌避性(伝播性・ドミノ効果): シロアリが薬剤を感知して避けることがないため、薬剤処理された場所をシロアリが通過します。
薬剤がシロアリの体表に付着したり、経口摂取されたりすることで、巣に持ち帰られ、他のシロアリにも薬剤が伝播します。
これにより、巣全体を壊滅させる「ドミノ効果」や「連鎖殺虫効果」が期待できます。 - 遅効性: 即効性はありませんが、効果がゆっくりと現れるため、シロアリが薬剤を巣に持ち帰る時間を確保できます。
これにより、巣全体への薬剤拡散が促進されます。 - 低臭性: 薬剤特有の不快な臭いがほとんどないため、施工後の居住環境への影響が少ないです。
- 低揮発性: 空中に拡散しにくい性質を持つため、室内空間の空気汚染リスクが低減されます。
- 土壌中での安定性: 土壌やコンクリート面でも安定して効果を持続させるため、長期的な予防効果が期待できます。
ネオニコチノイド系薬剤の効果
ネオニコチノイド系薬剤は、シロアリの神経系に作用します。
具体的には、昆虫の神経伝達物質であるアセチルコリンの受容体(ニコチン性アセチルコリン受容体)に結合し、神経伝達を阻害することで、シロアリを麻痺させ、最終的に死に至らせます。
この作用機序により、巣全体のシロアリを効率的に駆除することが可能です。
ネオニコチノイド系薬剤の安全性と人体への影響
ネオニコチノイド系薬剤の安全性と人体への影響は以下の通りです。
- 高い安全性(哺乳類に対して): ネオニコチノイド系薬剤は、昆虫の神経伝達システムに特異的に作用するように設計されています。
人やペットなどの哺乳類(脊椎動物)と昆虫では、神経伝達物質の受容体の構造が異なるため、哺乳類への毒性は極めて低いとされています。 - 毒劇物指定外: 多くのネオニコチノイド系シロアリ駆除剤は、毒物及び劇物取締法における「毒物」や「劇物」には指定されず、「普通物」に分類されています。
これは、食塩よりも急性毒性が低いと説明されることもあります。 - 環境への配慮: 揮発性が低く、空気中に拡散しにくいことから、室内環境への影響も少ないとされています。
ネオニコチノイド系薬剤の注意点
ネオニコチノイド系薬剤は、一般的に安全性が高いとされていますが、小さなお子様、妊婦の方、アレルギー体質の方、ペットがいるご家庭では、念のため施工中は換気を十分に行うか、一時的に外出するなどの注意が推奨されます。
また、魚類や一部の昆虫(ミツバチなど)には影響を与える可能性があるため、河川や池などへの流出には注意が必要です。
ネオニコチノイド系薬剤の製品例
ネオニコチノイド系薬剤の代表的な製品としては以下のものが挙げられます。
- ガントナー
- ハチクサン
- タケロック
- ハチクサンME
これらの薬剤は、主に専門のシロアリ駆除業者によって使用されます。
ご自宅のシロアリ対策を検討される際は、信頼できる専門業者に相談し、適切な診断と薬剤の選定、施工を行うことが最も重要です。
ネオニコチノイド系薬剤が向いている家・状況
ネオニコチノイド系薬剤は、非忌避性で遅効性のため、巣全体を根絶するドミノ効果が期待でき、目に見えない広範囲の被害にも有効です。
また、低臭性・低揮発性で土壌での安定性が高く、居住環境への影響が少なく長期的な予防効果を求める方に向いています。
- 巣全体の根絶を目指したい場合: 非忌避性で遅効性のため、シロアリが薬剤を巣に持ち帰り、コロニー全体を壊滅させる「ドミノ効果」が期待できます。
- 広範囲に被害が及んでいる可能性がある場合: 目に見えない場所のシロアリにも効果が広がるため、被害範囲が特定しにくい場合に有効です。
- 薬剤の臭いや揮発性を気にされる場合: 低臭性・低揮発性の製品が多く、施工後の居住環境への影響が少ないです。
- 長期的な予防効果を期待する場合: 土壌や木材での安定性が高く、効果が持続します。
ネオニコチノイド系薬剤が向いていない家・状況
即効性を求める際は注意が必要です。
- 即効性を求める場合: 薬剤が効き始めるまでに時間がかかるため、緊急性の高い駆除には不向きです。
- 薬剤散布自体を避けたい場合: 液剤を床下や木部に散布する工法が一般的です。
- 特定の水生生物への影響を懸念する場合: 魚類など水生生物には影響を与える可能性があるため、池や河川が近い場所では注意が必要です。
合成ピレスロイド系
合成ピレスロイド系は高い即効性を持っていることが大きな特徴です。
シロアリの予防にしても駆除にしても、よく選ばれているのはネオニコチノイド系薬剤ですが、緊急で目に見えるシロアリの駆除をしたい場合は合成ピレスロイド系がオススメです。
そのため、応急処置として使うためにも非常に優れた薬剤です。
合成ピレスロイド系薬剤の主な成分
合成ピレスロイド系の代表的な成分としては以下のものが挙げられます。
- ビフェントリン
- ペルメトリン
- シフルトリン
- エトフェンプロックス (ピレスロイド骨格を持たないが、同様の作用を示すため類縁化合物として扱われることが多い)
合成ピレスロイド系薬剤の特徴
合成ピレスロイド系薬剤は、シロアリを忌避させて侵入を防ぐバリア形成に優れ、接触したシロアリを速やかに麻痺・駆除する即効性が特徴です。
低臭・低揮発性で残効性も期待でき、室内環境への影響を抑えつつ一定期間効果を持続させます。
- 忌避性: シロアリが薬剤を感知して避ける傾向があるため、薬剤を散布した場所にシロアリが近づかなくなる「バリア(障壁)」を形成するのに適しています。これにより、建物の内部への侵入を防ぐ効果が期待できます。
- 速効性: シロアリが薬剤に接触すると、比較的短時間で麻痺・死亡する速効性があります。これにより、即座の駆除効果が期待できます。
- 残効性: 薬剤が土壌や木材に吸着しやすく、一度散布すると一定期間(数年程度)効果が持続します。
- 低臭性: 薬剤特有の不快な臭いが少ない製品が多いです。
- 低揮発性: 空中への拡散が少ないため、室内環境への影響も比較的低いとされます。
合成ピレスロイド系薬剤の効果
合成ピレスロイド系薬剤は、シロアリの神経系に作用します。
具体的には、シロアリの神経細胞にあるナトリウムチャネルの機能を阻害し、神経の興奮を異常に持続させることで、最終的に麻痺や痙攣を引き起こし、死に至らせます。
この作用により、接触したシロアリを効率的に駆除し、建物への侵入を阻止します。
合成ピレスロイド系薬剤の安全性と人体への影響
合成ピレスロイド系薬剤の安全性と人体への影響は以下の通りです。
- 人や哺乳類への安全性: 合成ピレスロイドは、昆虫と哺乳類で作用するナトリウムチャネルの構造が異なるため、人やペット(哺乳類)への毒性は比較的低いとされています。
体内で速やかに分解・排出される性質があるため、蓄積されにくいとされています。 家庭用殺虫剤に広く使われているのもこの安全性のためです。 - 毒劇物指定外: 多くの合成ピレスロイド系シロアリ駆除剤は、毒物及び劇物取締法における「毒物」や「劇物」には指定されず、「普通物」に分類されています。
合成ピレスロイド系薬剤の注意点
合成ピレスロイド系薬剤の注意点です。
- 魚類への毒性: 魚類や水生生物に対しては強い毒性を示すため、河川、池、観賞魚のいる場所などへの薬剤の流出には厳重な注意が必要です。
- アレルギー反応: ごく稀に、敏感な人やアレルギー体質の人に、一時的な皮膚刺激や呼吸器系の症状(のどの痛み、咳など)が出ることがあります。
施工中は換気を十分に行うか、一時的に外出するなどの注意が推奨されます。 - 猫への注意: 一部の合成ピレスロイドは猫の体内で分解されにくく、少量でも中毒症状を引き起こす可能性があるとされています。
猫を飼っている家庭では、使用する薬剤の種類や施工方法について業者と十分に相談することが重要です。
合成ピレスロイド系薬剤の製品例
合成ピレスロイド系薬剤の代表的な製品としては以下のものが挙げられます。
- シロアリハンター(DIY製品としても知られるが、プロ用製剤も存在)
- ターマイトキラースペシャル (業務用)
- その他、様々な業務用シロアリ防除剤に主要成分として配合されています。
合成ピレスロイド系薬剤が向いている家・状況
合成ピレスロイド系薬剤は緊急性が高い時に向いています。
具体的には以下の通りです。
- 即効性を求める場合: 接触したシロアリを速やかに駆除します。
- シロアリの侵入経路を物理的に遮断したい場合(バリア工法): 忌避性があるため、薬剤を散布した場所にシロアリが近づかなくなり、侵入防止の「バリア」を形成します。
- 部分的な被害や侵入が確認されている場合: 特定の侵入経路や被害箇所に集中して散布することで効果を発揮します。
- 比較的短期間での効果を求める場合: 残効性はありますが、ネオニコチノイド系やホウ酸塩系に比べると持続期間が短い場合があります。
合成ピレスロイド系薬剤が向いていない家・状況
合成ピレスロイド系薬剤はネオニコチノイド系薬剤と比べると、即効性こそありますがシロアリの根絶までの効力は見込めず、また人体・ペットへの安全性も低いです。
- 巣全体の根絶を最優先する場合: 忌避性があるため、シロアリが薬剤を避けて別の場所に移動し、巣全体への効果が限定的になる可能性があります。
- 猫を飼っている家庭: 猫はピレスロイド系成分の代謝が苦手なため、中毒症状を起こすリスクがあります。
- 水生生物への影響を懸念する場合: 魚類には強い毒性があるため、池や水槽、河川の近くでの使用は細心の注意が必要です。
IGR剤(昆虫成長制御剤)
IGR剤(Insect Growth Regulator)は、「昆虫成長制御剤」と訳され、シロアリの成長過程に特異的に作用することで駆除する薬剤です。
従来の殺虫剤とは異なる作用機序を持つため、人やペットへの安全性が高いことが大きな特徴です。
主に「ベイト工法(餌工法)」で使用されます。
IGR剤(昆虫成長制御剤)の主な成分
IGR剤の代表的な成分としては以下のものが挙げられます。
- ヘキサフルムロン
- ルフェヌロン
- ノバルロン
これらの成分は、シロアリの脱皮を阻害する作用を持ちます。
IGR剤(昆虫成長制御剤)の特徴
ネオニコチノイド系薬剤同様に、じわじわと効果が出て来ます。
価格はネオニコチノイド系薬剤よりも上がりますが、安全性が非常に高いことが特徴です。
- 脱皮阻害作用: シロアリが成長する際に必要な脱皮を阻害することで、正常な成長を妨げ、最終的に死に至らせます。
幼虫だけでなく、兵蟻、職蟻、そして女王アリや王アリといった生殖虫にも効果があります。 - 遅効性: 即効性はありません。シロアリが薬剤を摂取してから効果が現れるまでに時間がかかるため、薬剤を巣全体に持ち帰らせる「ドミノ効果(連鎖殺虫効果)」が最大限に発揮されます。
- 非忌避性: シロアリが薬剤を感知して避けることがないため、警戒心なく餌として摂取します。
- 巣全体を根絶: 薬剤を摂取したシロアリが巣に戻り、他のシロアリに薬剤を伝播させることで、巣全体を徐々に弱体化させ、最終的に壊滅させます。
- ベイト工法での利用: 主に、シロアリが好む餌木やセルロースにIGR剤を含ませた「ベイト剤」として、建物の周囲の土中や被害箇所に設置して使用されます。
薬剤を散布しないため、室内環境を汚染するリスクが低いです。
IGR剤(昆虫成長制御剤)の効果
IGR剤は、シロアリのキチン合成を阻害することで、脱皮を妨げます。
昆虫の外骨格はキチン質でできており、成長のために脱皮を繰り返します。
IGR剤を摂取したシロアリは、脱皮ができなくなり、正常な外骨格を形成できずに死んでしまいます。
この作用は、シロアリの成長サイクル全体に影響を与えるため、最終的には女王アリや王アリの繁殖能力も低下させ、巣全体を根絶する高い効果が期待できます。
安全性と人体への影響
ネオニコチノイド系薬剤と比べ安全性が高く、アレルギー体質な方でも安心して選択できます。
- 極めて高い安全性(哺乳類に対して): IGR剤は、昆虫特有の生理作用である「脱皮」に作用するため、脱皮を行わない哺乳類(人やペット)にはほとんど影響を与えません。
このため、従来の殺虫剤と比較して、人やペット、環境への安全性が非常に高いとされています。 - 毒劇物指定外: 多くのIGR剤は毒物及び劇物取締法における「毒物」や「劇物」には指定されず、「普通物」に分類されます。
- 環境への影響が少ない: ベイト工法で使用されるため、薬剤が密閉された容器に入っており、土壌や水系への薬剤の流出リスクが極めて低いです。また、揮発性も低いため、空気中に拡散する心配もほとんどありません。
- アレルギー体質の方や敏感な方にも推奨: 薬剤の散布を伴わないため、化学物質に敏感な方やアレルギー体質の方、小さなお子様や妊婦の方がいるご家庭でも、安心して選択できるシロアリ対策方法として推奨されます。
IGR剤(昆虫成長制御剤)の注意点
一般的に高い安全性が強調されていますが、どのような薬剤であっても、施工時は専門業者による適切な取り扱いが必須です。
IGR剤(昆虫成長制御剤の 製品例
IGR剤の代表的な製品としては以下のものが挙げられます。
- セントリコン・システム(ヘキサフルムロンが主成分)
- エクステラ(ヘキサフルムロンが主成分)
- ターミナイトベイト
これらの製品は、主に専門のシロアリ駆除業者によって取り扱われ、定期的な点検とベイト剤の補充が必要となるシステムとして提供されます。
IGR剤を用いたベイト工法は、安全性を重視しつつ、シロアリの巣全体を根絶したい場合に非常に有効な選択肢となります。
IGR剤(昆虫成長制御剤)が向いている家・状況
IGR剤は「安全性が非常に高い」ことにあります。
そのため、ご家族やペットへの安全性を最優先で考えたい方には非常に向いています。
- 人やペット、環境への安全性を最優先したい場合: 昆虫特有の脱皮に作用するため、哺乳類にはほとんど影響がなく、薬剤を散布しないため環境負荷が非常に低いです。
- 巣全体の根絶を確実に目指したい場合: 遅効性で非忌避性のため、薬剤が巣全体に広がり、女王アリまで含めてコロニーを壊滅させる効果が期待できます。
- 化学物質に敏感な方やアレルギー体質の方がいる家庭: 薬剤の空気中への放出がほとんどないため、安心して使用できます。
- 長期的な監視と予防を希望する場合: ベイト工法として継続的にシロアリの活動を監視し、予防できます。
- 床下に入れないなど、薬剤散布が難しい構造の建物: 建物の外周にベイトステーションを設置するため、施工が容易です。
IGR剤(昆虫成長制御剤)が向いていない家・状況
IGR剤は、ネオニコチノイド系薬剤同様に、合成ピレスロイド系のような即効性はありません。
また安全性が高い半面、費用が高くなってしまうことも頭に入れておきましょう。
- 即効性を求める場合: 効果が現れるまでに数週間から数ヶ月かかるため、緊急性の高い駆除には不向きです。
- 初期費用を抑えたい場合: ベイト工法は初期設置費用や定期的なメンテナンス費用がかかることがあります。
- シロアリの活動が非常に活発で、迅速な対処が必要な場合: まずは即効性のある薬剤で初期駆除を行い、その後ベイト工法に移行するケースもあります。
ホウ酸塩系薬剤
ホウ酸塩系薬剤は、その安全性の高さから、アレルギー体質の方や小さな子供、ペットがいるご家庭、あるいは新築住宅での長期的な予防対策として特に推奨されます。
また、シロアリだけでなく、防腐・防カビへの効果もあります。
ただし、水溶性のため、雨に直接当たる外部の木部などでは別途保護処理が必要になる場合があります。
また土壌処理にもあまり適していません。
ホウ酸塩系薬剤の主な成分
ホウ酸塩系薬剤の代表的な成分は以下の通りです。
- ホウ酸ナトリウム
- ホウ酸
これらは水に溶かすことで木材に浸透させたり、粉末として使用したりします。
ホウ酸塩系薬剤の特徴
ホウ酸塩系薬剤は、雨などで流れなければ効果が長く、安全性も高い上に、防腐・防カビへの効果があることが特徴です。
- 非蒸発性(揮発しない): ホウ酸塩は揮発性がないため、一度処理すれば空気中に薬剤成分が放出されることがほとんどありません。
これにより、施工後の居住空間の空気を汚染する心配が非常に少ないです。 - 長期的な効果持続: 揮発しない性質上、雨水で流れ落ちたり、物理的に削り取られたりしない限り、効果が半永久的に持続すると言われています。
再処理の頻度が大幅に減るため、長期的なコストパフォーマンスに優れます。 - 食毒性: シロアリがホウ酸塩処理された木材を「食べる」ことで効果を発揮します。薬剤処理された表面を歩くだけでは効果は薄いです。
- 非忌避性: シロアリはホウ酸塩を感知して避けることがないため、無警戒に処理された木材を摂取します。
- 防腐・防カビ効果: シロアリ対策だけでなく、木材の腐朽菌やカビの発生も抑制する効果があるため、木材そのものの寿命を延ばすことにも寄与します。
ホウ酸塩系薬剤の効果
ホウ酸塩系薬剤はシロアリが摂取することで、その消化器系や代謝系に作用し、エネルギー生産を阻害することで死に至らせます。
具体的には、シロアリが餌(木材)から栄養を吸収する能力を失わせるため、最終的に餓死させるような作用機序です。
また、ホウ酸塩系薬剤はシロアリの神経系には直接作用しないため、即効性はありませんが、時間をかけて巣全体を弱らせ、最終的に駆除する効果が期待できます。
ホウ酸塩系薬剤の安全性と人体への影響
ホウ酸塩系薬剤は、ネオニコチノイド系薬剤と比べ安全性が高く、環境への負荷も低いとされてます。
- 人や哺乳類への安全性: ホウ酸塩は、人間を含む哺乳類の腎臓で速やかに排出されるため、体内に蓄積されにくいとされています。
急性毒性は食塩と同程度かそれ以下とされており、非常に安全性が高い薬剤として認識されています。 - 「普通物」に分類: 毒物及び劇物取締法における「毒物」や「劇物」には指定されず、「普通物」に分類されます。
- 環境への影響: 自然界に存在するミネラルを主成分としているため、環境への負荷も低いとされています。揮発しないため、大気汚染の心配もありません。
ホウ酸塩系薬剤の注意点
大量に摂取した場合、消化器系の不調(吐き気、下痢など)を引き起こす可能性があります。
特に小さな子供やペットがいる家庭では、誤飲防止のために、薬剤が直接触れられないように施工することが重要です。
適切な濃度で使用され、施工後は通常生活する上で問題となることはほとんどありません。
ホウ酸塩系薬剤の製品例
ホウ酸塩系薬剤の代表的な製品としては以下のものが挙げられます。
- エコボロンPRO
- ボロンdeガード
- ターマティック
ホウ酸塩系薬剤が向いている家・状況
ホウ酸塩系薬剤は安全性が高く、長期的な効果を期待したい方にオススメです。
また防腐・防カビ効果も同時に期待できます。
- 人やペット、環境への安全性を非常に重視したい場合: 揮発せず、体内に蓄積されにくいため、極めて安全性が高いとされています。
- 長期的効果を期待したい場合: 揮発しないため、一度処理すれば効果が長期間に持続します。
- 新築時やリフォーム時の予防: 木材に直接処理するため、建築段階での予防に非常に適しています。
- 防腐・防カビ効果も同時に期待したい場合: シロアリだけでなく、木材の腐朽やカビの発生も抑制します。
- シックハウス症候群を懸念される家庭: 揮発性がないため、室内空気環境への影響がありません。
ホウ酸塩系薬剤が向いていない家・状況
合成ピレスロイド系薬剤と違い即効性はありません。
そのため今すぐに見えているシロアリを何とかしたい、という場合には向いていません。
加えて、雨などの水に弱く、雨で流れなければ持続性が長いですが、その分費用が高くなることも注意です。
- 既にシロアリが活発に活動している場合の緊急駆除: 食毒性のため、シロアリが木材を摂取しないと効果が出ず、即効性はありません。
- 雨水に直接当たる外部の木部: 水溶性のため、雨で流れ落ちる可能性があり、別途保護処理が必要です。
- 広範囲の土壌処理: 主に木部処理に用いられ、土壌処理にはあまり適していません。
- 価格を抑えたい場合: ネオニコチノイド系薬剤と比べ持続性は長いですが、価格は高くなります。
アントラニリックジアミド系薬剤
アントラニリックジアミド系薬剤は新しい薬剤です。
現在最も使われている薬剤、ネオニコチノイド系薬剤がミツバチなどの昆虫に対し良くない影響を指摘され、海外では一部使用規制の動きがあります。
そのような背景もあって、ネオニコチノイド系薬剤に変わるものを求める動きがあり、開発された新しい薬剤です。
アントラニリックジアミド系薬剤の主な成分
アントラニリックジアミド系薬剤の代表的な成分としては以下のものが挙げられます。
- クロラントラニリプロール
- シラントラニリプロール
アントラニリックジアミド系薬剤の特徴
アントラニリックジアミド系薬剤はネオニコチノイド系薬剤と同じようにじわじわと効果が出る薬剤です。
そのため合成ピレスロイド系のような即効性はありませんが、高い持続性があり、加えて安全性も非常に優れた薬剤です。
- 神経・筋毒性: 昆虫の筋肉収縮に関わるリアノジン受容体(Ryanodine receptor: RyR)に作用することで、シロアリの神経と筋肉を同時に機能不全に陥らせます。
- 非忌避性(伝播性・ドミノ効果): シロアリが薬剤を感知して避けることがないため、処理された場所を通過したり、餌として摂取したりすることで、薬剤を巣に持ち帰ります。これにより、巣の中にいる他のシロアリにも薬剤が広がり、巣全体を根絶するドミノ効果が期待できます。
- 遅効性: 即効性は低いですが、効果がゆっくりと現れるため、シロアリが薬剤を巣に持ち帰る時間を十分に確保でき、巣全体への薬剤拡散が促進されます。
- 高い残効性: 土壌中での安定性が高く、一度処理すると効果が長期間持続することが期待できます。これにより、再処理の頻度を減らすことができます。
- 低臭性・低揮発性: 薬剤特有の不快な臭いがほとんどなく、空気中への揮発も少ないため、施工後の居住環境への影響が少ないです。
アントラニリックジアミド系薬剤の効果
アントラニリックジアミド系薬剤は、昆虫の筋肉収縮に必須の役割を果たすリアノジン受容体に結合し、その機能を異常に活性化させます。
これにより、細胞内のカルシウムイオンが過剰に放出され、筋肉が収縮しっぱなしになるなど、正常な神経伝達や筋肉の働きができなくなります。
結果として、シロアリは摂食を停止し、麻痺状態となり、最終的に死に至ります。
この独自の作用機序により、従来の殺虫剤に抵抗性を持つ害虫にも効果を発揮するとされています。
安全性と人体への影響
アントラニリックジアミド系薬剤は、最も使われてる薬剤のネオニコチノイド系薬剤と比べても非常に高い安全性を有しています。
- 極めて高い安全性(哺乳類に対して): アントラニリックジアミド系薬剤は、昆虫のリアノジン受容体と哺乳類のリアノジン受容体の構造が大きく異なるため、昆虫に特異的に作用し、人やペット(哺乳類)に対する毒性が極めて低いとされています。
- 毒劇物指定外: 毒物及び劇物取締法において、「毒物」や「劇物」には指定されず、「普通物」に分類されています。
- 環境への影響: 環境中の微生物によって分解されやすく、土壌への影響も比較的低いとされています。揮発性が低いため、大気汚染の懸念も少ないです。
アントラニリックジアミド系薬剤の注意点
魚類や水生生物に対しては影響がある場合もあるため、河川や池などへの流出には注意が必要です。
基本的に、専門業者による適切な使用であれば、居住環境における安全性は非常に高いと言えます。
アントラニリックジアミド系薬剤の製品例
アントラニリックジアミド系薬剤の代表的な製品はこちらです。
- テネベナール (有効成分クロラントラニリプロール)
- アリピレス (有効成分クロラントラニリプロール、シラントラニリプロールなど)
テネベナールは、日本のシロアリ防除業界では「新系統」として特に注目されており、その安全性と高い効果から、従来の薬剤に代わる選択肢として導入が進んでいます。
アントラニリックジアミド系薬剤が向いている家・状況
アントラニリックジアミド系薬剤は、安全性の高さと長期的な効果の両立を求めている方に非常にオススメです。
- 人やペット、環境への安全性を重視したい場合: 哺乳類への毒性が極めて低いとされています。
- 巣全体の根絶を目指したい場合: 非忌避性で遅効性のため、ドミノ効果による巣全体の駆除が期待できます。
- 既存の薬剤に抵抗性を持つシロアリが懸念される場合: 独自の作用機序を持つため、抵抗性シロアリにも効果を発揮する可能性があります。
- 長期的な予防効果を期待する場合: 土壌中での安定性が高く、効果が持続します。
- 低臭性・低揮発性を求める場合: 施工後の居住環境への影響が少ないです。
アントラニリックジアミド系薬剤が向いていない家・状況
アントラニリックジアミド系薬剤は、合成ピレスロイド系のような即効性がなく、応急処置や目に見えているシロアリへの対応へは注意が必要です。
- 即効性を求める場合: 効果が現れるまでに時間がかかります。
- 特定の水生生物への影響を懸念する場合: 魚類など水生生物には影響がある場合もあるため、注意が必要です。
メタジアミド系薬剤
メタジアミド系薬剤はアントラニリックジアミド系薬剤と同様に新しい薬剤です。
現在最も使われている薬剤、ネオニコチノイド系薬剤がミツバチなどの昆虫に対し良くない影響を指摘され、海外では一部使用規制の動きがあります。
そのような背景もあって、ネオニコチノイド系薬剤に変わるものを求める動きがあり、開発された新しい薬剤です。
メタジアミド系薬剤の主な成分
メタジアミド系薬剤の代表的な成分としては以下のものが挙げられます。
- テネベナール(一般名:ブロフラニリド)
メタジアミド系薬剤の特徴
メタジアミド系薬剤はネオニコチノイド系薬剤と同じようにじわじわと効果が出る薬剤です。
そのため合成ピレスロイド系のような即効性はありませんが、高い持続性があり、加えて安全性も非常に優れた薬剤です。
- 新しい作用機序: 昆虫の神経細胞に存在する「GABA受容体」に作用し、従来のGABA受容体作用性殺虫剤とは異なる結合部位で機能します(アロステリック効果)。
これにより、神経の興奮抑制を阻害し、シロアリを痙攣、麻痺させ、最終的に死に至らせます。
既存の薬剤に抵抗性を持ったシロアリにも効果が期待できる点が大きな特徴です。 - 非忌避性(伝播性・ドミノ効果): シロアリが薬剤を避けることなく接触し、薬剤成分を巣に持ち帰ることで、他のシロアリにも伝播させる「ドミノ効果(連鎖殺虫効果)」を発揮します。
- 遅効性: 即効性はありませんが、効果がゆっくりと現れるため、シロアリが薬剤を巣全体に拡散させる時間を確保できます。
- 高い残効性・安定性: 土壌中やコンクリート面での安定性に優れており、一度処理すると長期間にわたって予防効果が持続することが期待されます。
- 低臭性・低揮発性: 薬剤特有の不快な臭いがほとんどなく、空気中への揮発も少ないため、施工後の居住環境への影響が少ないです。
メタジアミド系薬剤の効果
メタジアミド系薬剤は、シロアリの神経細胞のGABA受容体に作用することで、シロアリの興奮状態を収める機能(神経の抑制機能)を阻害します。
これにより、シロアリは過剰な興奮状態に陥り、麻痺や痙攣などの症状を経て死に至ります。
非忌避性かつ遅効性であるため、薬剤が巣全体に広がり、シロアリコロニーの壊滅に繋がる効果が期待されます。
安全性と人体への影響
メタジアミド系薬剤は、安全性の高さと長期的な効果の両立を求めている方に非常にオススメです。
- 極めて高い安全性(哺乳類に対して): メタジアミド系薬剤は、昆虫のGABA受容体と哺乳類のGABA受容体で構造が異なるため、人やペット(哺乳類)に対する毒性が極めて低いとされています。
- 毒劇物指定外: 毒物及び劇物取締法において、「毒物」や「劇物」には指定されず、「普通物」に分類されています。
- 環境への影響: 土壌への吸着性が高く、環境中への流出リスクが低いとされています。
また、シロアリに対して高い効果を示すため、有効成分の使用量を大幅に削減できることも環境負荷低減に貢献します。
万が一の流出時も、魚への影響が低いとされています。
メタジアミド系薬剤の注意点
一般的に高い安全性が強調されていますが、どのような薬剤であっても、施工時は専門業者による適切な取り扱いが必須です。
メタジアミド系薬剤の製品例
メタジアミド系薬剤の代表的な製品はこちらです。
- オールサイド(有効成分テネベナール)土壌処理用、木部処理用などがあります。
メタジアミド系薬剤が向いている家・状況
メタジアミド系薬剤は、安全性の高さと長期的な効果の両立を求めている方に非常にオススメです。
- 人やペット、環境への安全性を重視したい場合: 哺乳類への毒性が極めて低いとされています。
- 巣全体の根絶を目指したい場合: 非忌避性で遅効性のため、ドミノ効果による巣全体の駆除が期待できます。
- 既存の薬剤に抵抗性を持つシロアリが懸念される場合: 独自の作用機序を持つため、抵抗性シロアリにも効果を発揮する可能性があります。
- 長期的な予防効果を期待する場合: 土壌中での安定性が高く、効果が持続します。
- 低臭性・低揮発性を求める場合: 施工後の居住環境への影響が少ないです。
メタジアミド系薬剤が向いていない家・状況
メタジアミド系薬剤は、合成ピレスロイド系のような即効性がなく、応急処置や目に見えているシロアリへの対応へは注意が必要です。
- 即効性を求める場合: 効果が現れるまでに時間がかかります。
- 特定の水生生物への影響を懸念する場合: 魚類など水生生物には影響がある場合もあるため、注意が必要です。
アントラニリックジアミド系薬剤とメタジアミド系薬剤の違い
アントラニリックジアミド系薬剤とメタジアミド系薬剤は、両者ともにネオニコチノイド系薬剤の変わる新しい薬剤です。
安全性が高く、また持続性が長いことも両方に当てはまる特徴です。
わりと似たような効果を持っており、いずれも現代のシロアリ予防・駆除において非常に有効的な選択です。
強いてどちらかを選ぶとすれば、以下の点が判断材料になります。
- これまでの実績と幅広い害虫への適用例も考慮するなら、アントラニリックジアミド系薬剤。
- 「新しい作用機序」や「環境負荷低減」をより強く意識するなら、メタジアミド系薬剤。
最終的には、シロアリの種類、被害の程度、建物の構造、そして施工を行う業者の専門性や得意とする薬剤、保証内容などを総合的に判断することが重要です。
エアゾール(スプレー)タイプ
エアゾール(スプレー)タイプの薬剤は、主にDIYでの応急処置や、羽アリが発生した際の直接駆除、部分的な予防に使われます。
専門業者による本格的なシロアリ駆除・予防とは目的や効果の範囲が異なります。
エアゾール(スプレー)タイプの主な成分
- 合成ピレスロイド系:(シフェノトリン、フタルスリン、プラレトリン、ペルメトリンなど)
即効性があり、昆虫の神経に作用して麻痺させる。忌避性(シロアリが避ける)がある。 - ネオニコチノイド系:(クロチアニジン、イミダクロプリドなど)
非忌避性で、シロアリが薬剤を認識しにくい。遅効性で、巣に薬剤を持ち帰らせるドミノ効果が期待できるものもある。 - フェニルピラゾール系:(フィプロニルなど)
非忌避性で、遅効性。ドミノ効果による巣全体への作用が期待できる。
これらの成分が単独または複数組み合わせて配合されています。
エアゾール(スプレー)タイプの特徴
手軽に使え、応急処置や部分的に使用します。
- 手軽さ・即効性: 市販されており、特別な知識や道具がなくても手軽に使えるのが最大のメリットです。羽アリを見つけた際などに、その場で直接噴射して駆除できます。
- 部分的な効果: あくまで目に見える範囲のシロアリや、ごく限られた範囲の被害に対する応急処置、または部分的な予防が目的です。
- 巣の根絶は困難: シロアリの巣は建物の奥深くや地中にあるため、スプレータイプだけで巣全体を根絶することは非常に困難です。表面的な駆除にとどまることがほとんどです。
- 忌避性の有無: 成分によって忌避性があるものとないものがあります。忌避性がある場合は、シロアリが薬剤を避けて別の場所に移動し、被害が広がる可能性もあります。
- 持続性: 残効性を持つ製品もありますが、プロが使用する専門薬剤に比べると持続期間は短いです。
エアゾール(スプレー)タイプの効果
使いやすさは確かですが、効果は限定的なものになります。
そのため応急処置以外、根本解決での使用はオススメ出来ません。
- 直接噴射による接触・吸入駆除: 羽アリやシロアリの姿を目視できた場合に、直接噴射することで、接触したシロアリの神経系に作用し、麻痺・死亡させます。
- 部分的なバリア形成: 特定の箇所(木材の表面など)に噴射することで、一時的なシロアリの侵入防止効果を狙うことができます。
- ドミノ効果の期待(一部製品): 非忌避性成分が配合されている製品では、薬剤に接触したシロアリが巣に戻り、他のシロアリにも薬剤を広げることで、巣全体への効果を期待できると謳っているものもありますが、ベイト工法や専門的な液剤散布に比べると限定的です。
エアゾール(スプレー)タイプの安全性と人体への影響
- 比較的低い毒性(家庭用): 市販のエアゾールタイプは、家庭での使用を想定しているため、人やペット(哺乳類)に対する急性毒性は比較的低い成分が選ばれています。多くは「普通物」に分類されます。
- 吸入・接触注意: スプレー時に薬剤の粒子を吸い込んだり、皮膚に直接触れたりすると、一時的に喉の痛み、咳、頭痛、吐き気などの症状が出ることがあります。使用時は、換気を十分に行い、マスクや手袋を着用することが推奨されます。
- ペットへの注意: 特に猫は合成ピレスロイド系成分の代謝能力が低いため、少量でも中毒症状を引き起こす可能性があります。
使用する際は、ペットを部屋から出す、使用箇所に近づけないなどの注意が必要です。 - 火気厳禁: エアゾール製品は可燃性のガスを使用しているため、火気の近くでの使用や保管は絶対に避ける必要があります。
- 環境への影響: 噴霧された薬剤が土壌や水系に拡散するリスクがあるため、使用場所や量には注意が必要です。
エアゾール(スプレー)タイプの注意点
エアゾールタイプは手軽ですが、シロアリ被害の根本的な解決には繋がりません。
羽アリを見つけたり、シロアリの疑いがある場合は、一時しのぎとしてスプレーを使用しつつ、必ず専門のシロアリ駆除業者に点検を依頼することをお勧めします。
専門家による調査と適切な処置が、被害の拡大を防ぎ、高額な修繕費用を回避する最も確実な方法です。
エアゾール(スプレー)タイプの製品例(一般消費者向け)
エアゾールタイプの製品例はこちらです。
ホームセンターやドラックストアなどで購入が可能です。
- フマキラー シロアリスプレー: 主にピレスロイド系成分を配合。直接噴射による駆除と、木材防腐・防カビ効果を謳うものが多い。
- アース製薬 アースシロアリ・イエシロアリジェットプロ: 速効性と、木部への浸透性を特徴とする。
- 白アリスーパーエアゾール: 専門業者向け製品の簡易版として販売されているものもある。
エアゾール(スプレー)タイプが向いている家・状況
あくまで応急処置や部分的な処方目的で使用するのに向いています。
手軽に使うこともでき、ホームセンターやドラッグストアで購入することが可能です。
- 羽アリが室内に発生した際の応急処置:家の中に羽アリが発生した場合、飛散している羽アリをその場で素早く駆除するのに有効です。
また業者を呼ぶまでの間に、目の前の羽アリを一時的に減らしたい場合に適しています。 - ごく狭い範囲でのシロアリの目視確認:自分で目視できる範囲(例えば、窓枠の隙間から出てきた数匹のシロアリなど)で、ごく初期の被害や単体のシロアリを確認した場合。
- 被害が限定的で、一時的な抑止を目的とする場合:例えば、一時的に家具を移動した際に、その下の木材にごくわずかなシロアリの痕跡を見つけたなど、被害が局所的で広範囲ではないと判断できる場合。
- 本格的な駆除の前の一時的な対処:専門業者に点検・駆除を依頼するまでの繋ぎとして、活動を一時的に抑えたい場合に利用されます。
エアゾール(スプレー)タイプが向いていない家・状況
エアゾールタイプは「手軽な応急処置」や「一時的な部分駆除」に特化しており、シロアリ被害の本格的な解決や長期的な予防には不向きです。
- シロアリ被害が広範囲に及んでいる、またはその可能性がある場合:シロアリの巣は建物の奥深くや地中にあり、スプレーだけで根絶することはほぼ不可能です。
目に見える範囲の駆除に留まり、根本的な解決にはなりません。 - 被害箇所が特定できていない、または目に見えない場所(床下、壁の中など)に被害がある場合:シロアリは隠れて活動するため、目に見えない場所での被害がほとんどです。
スプレーは直接届かないため、無意味な場合が多いです。 - 根本的な駆除・予防を目指す場合:エアゾールはあくまで表面的な対処であり、巣を壊滅させる効果は期待できません。
長期的な予防や再発防止には全く向いていません。 - 安全性や環境への影響を重視する場合:噴霧時に薬剤が空気中に拡散し、吸い込むリスクがあります。特に小さなお子様、妊婦、ペット(特に猫)がいる家庭では、健康被害のリスクが懸念されます。
また、可燃性ガスを使用しているため、火気厳禁であり、使用後の換気も必須です。 - プロの確実な施工を求める場合:専門業者による施工は、薬剤の選定、適切な量の散布、保証など、総合的なサービスを提供します。
エアゾールでのDIYは、知識や経験がないと効果が薄いだけでなく、かえって被害を拡大させるリスクもあります。 - 費用対効果を重視する場合:一時しのぎにしかならないため、何度も購入・使用すると結果的に高コストになる可能性があります。
まとめ
専門家への意見を聞きながら選びましょう
シロアリ対策・シロアリ駆除は、建物の構造や被害状況に応じて最適な方法が異なります。
必ず専門のシロアリ業者に相談し、適切な診断と施工を受けることを強くお勧めします。
応急処置などは自分でやるのも良いですが、実際の対策や駆除は専門家に任せることをオススメ致します。
重要な注意点
プロによる施工が基本: これらの薬剤はプロのシロアリ駆除業者によって適切に扱われるべきものです。
DIYでの使用は、効果が不十分であったり、誤った使用により人体や環境に悪影響を及ぼす可能性があります。
製品ごとの詳細確認: 同じ成分名でも、製品ごとに濃度や添加物が異なり、使用方法や注意点が細かく定められています。
必ず製品の説明書や安全データシート(SDS)を確認することが重要です。
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