シロアリはありじゃない?シロアリの生態や分布について詳しく解説
「シロアリって蟻じゃないと聞いたけど本当?」
「シロアリはなぜ家に害をなすの?」
本記事はこんな方に向けてシロアリの生態やその種類、特徴から、どのようにすればシロアリから大事な家を守れるかについて解説しています。
シロアリはありじゃない?
木材がどれほど弱くなってしまうかが良くわかります。
特にからの被害実態や、被害材のモロさは必見。
公益社団法人 日本しろあり対策協会が制作した4分動画です。
木材がどれほど弱くなってしまうかが良くわかります。
特にからの被害実態や、被害材のモロさは必見。
公益社団法人 日本しろあり対策協会が制作した4分動画です。
シロアリはアリと名前がついていながら実は蟻ではありません。
蟻に似ていて白かったからシロアリと呼ばれているだけで、実際はゴキブリです。
アリは昆虫としての分類では「ハチ目ハチ亜目有剣ハチ下目」で、大きい分類では蜂の仲間です。
ところがシロアリは昆虫としての分類では「ゴキブリ目シロアリ下目」で、大きい分類ではゴキブリの仲間です。
衝撃ですよね。
シロアリの特徴
シロアリは世界の熱帯・亜熱帯地域に多く生息、約3000種がいるとされています。
その中で、木造建造物を食害する主要な害虫として知られるシロアリは104種で、
残りの大部分は、枯れた木や落ち葉などを食物や巣の材料として運び、物質循環に大きな役割を果たしています。
また熱帯地方では、地中に作られる蟻道が土壌条件の改良に役立っており、益虫としての働きも大きいのです。
①シロアリは真社会性昆虫
シロアリはアリと同じく、真社会性昆虫と呼ばれ、多数の個体が集団で生活し、職蟻や兵蟻などの役割分担を行いながら社会生活を営んでいます。
生殖階級、兵蟻階級、職蟻階級に分かれ、生殖階級はいわゆる王と女王で、繁殖に専念する階級です。アリでは雄はごく短い時期しか出現せず、女王アリが体内の受精嚢に生死を蓄えて都度使用するのに対し、
シロアリ女王アリは精子を蓄えることができないので、王と女王は常に一緒に生活し、交尾を繰り返します。
シロアリの集団の90%~95%は職蟻階級でいわゆる働き蟻です。餌の採取・運搬、巣や蟻道の構築・修理・清掃、生殖階級や幼虫・兵蟻などの世話と、餌を与える役割を担当しています。
残りの2~3%が兵蟻階級で、外敵からの防衛にあたるのが役割です。防衛に特化した大顎のため、木材等をかじることができず、職蟻からの口移しや糞食でまかなっています。
②シロアリの主食はセルロース
シロアリは基本的にセルロースとヘミセルロースを消化し、栄養源としています。
木の細胞壁は、セルロース約50%、ヘミセルロース約20%、リグニン約30%で構成されており、シロアリが家を食べてします所以です。
③シロアリは乾燥に弱い
木造住宅が被害にあう種類のシロアリは地下シロアリと呼ばれ、乾燥に弱く、生存には液状の水が必要不可欠です。
ですのでその生活環境は常に高い湿度に保たれており、相対湿度70%~80%付近で接触活動が活発になります。
地下シロアリは加害範囲を拡大する際に、蟻道と呼ばれる通路を作ることで、乾燥や日射などを割けて移動します。巣や蟻道の材料には湿った土、糞が利用され、湿度を保ちます。
日本で建物を加害する主要4種シロアリ
日本で木造建築物を食害してしまうシロアリは4種類います。
地下シロアリのヤマトシロアリとイエシロアリ、乾材シロアリのアメリカカンザイシロアリとダイコクシロアリの4種です。
①ヤマトシロアリの特徴
北海道北部を除く日本全土に分布し、排出物や土壌等で蟻道を形成し、その中を通って地中や木材面を移動して加害場所を広げます。
一番の特徴は、固定の巣を作らず、加害場所自体が巣を兼ねるということです。
①イエシロアリの特徴
千葉県から西の海岸線に沿った温暖な地域と、小笠原諸島に分布します。
ヤマトシロアリと違い、固定の巣を作ります。この固定巣と加害場所は離れており、蟻道が連絡通路となります。
この巣と加害場所は遮るものがなければ100mにもなり、加害は広範囲に及びます。
世界のシロアリの中でも最も加害の激しい種であり、西日本でシロアリ被害が多く、かつ大きいのもこのイエシロアリが多く生息しているからです。
②アメリカカンザイシロアリ
宮城県仙台市から、沖縄本島まで多くの都府県に点在して確認されています。
アメリカのワシントン州からメキシコのカリフォルニア半島にかけてよく見られるシロアリで、日本へは家具や荷造り材などの中に潜んでいたののが輸入されてきたと考えられています。
このアメリカカンザイシロアリはヤマトシロアリ、イエシロアリと違い地下シロアリではなく、乾材シロアリと呼ばれる種で乾燥した木材を好みます。
また非常に厄介なことに地下からくるわけではないため、一般的なシロアリ予防対策が効きません。
まだ被害数は少ないものの、いま最も厄介なシロアリと言えます。
④ダイコクシロアリ
アメリカカンザイシロアリと同じ乾材シロアリで、乾燥に極めて強く、ピアノや家具のような木製品などにも生息します。
日本では奄美大島より南と、小笠原諸島にて確認されています。
シロアリは我が家にはいない?
シロアリは被害にあえば数百万の規模になってしまう厄介なもの、かつ予防対策をしていなければかなりの確率で被害にあたってしまうにも関わらず、自分の家だけは平気だと悠長に構えている方が多くて驚きます。
ゴキブリも湿気を好みますので、家でゴキブリを見たことがある方は、既に十分にシロアリがいる可能性があることを理解して欲しいと思います。
保険大好きな日本人が、シロアリだけは備えずに被害にあってから泣いているのを見るにつけ、なぜ予防対策が徹底されないのか不思議でなりません。
ベタ基礎(床下は全部コンクリート)ならシロアリ被害に合わない?
確かに完全密室の分厚いコンクリートで覆われたベタ基礎であれば、シロアリは多少のコンクリートは噛み砕くといっても、おそらくシロアリ被害には合わないと思います。
ただ残念ながらベタ基礎でもシロアリ被害が絶えないのは、シロアリの侵入可能な経路がいくつか存在するからです。
基礎を作っている最中に雨が振ったりした時に排水ができないと困るので作成する水抜き穴、コンクリートとコンクリートのつなぎ目の隙間、立ち上げ部分のコンクリートを作る時の型枠をとめるためのセパレート金具、配管を通す穴、地震によって後からできた亀裂などがそれにあたります。
本格的なシロアリ防除・予防対策は専門業者へ
まだシロアリ被害が発生していない段階での、シロアリ予防・対策の作業は語弊を恐れずに言うと、ものすごく高い技術を必要とする訳ではないので、薬剤を仕入れて自分で行う事も不可能ではありません。
しかし、ただの一度も入ったことのない床下に入ること自体が、素人には大きな関門となります。
自分の家を長持ちさせる根幹のようなシロアリ対策は、無理をせず、無茶をせず専門業者に頼むことをオススメします。
シロアリ専門業者(防除・予防対策)の費用相場
家の広さや、状況によって金額は当然前後しますが、ベタ基礎でシロアリ被害を受けていない家の場合は、10万円前後。
布基礎の場合は15万前後が費用相場です。
シロアリ専門業者(駆除・予防対策)の費用相場
こちらも家の広さや、状況によって金額は当然前後しますが、ベタ基礎の場合は20万円前後、布基礎の場合は30万円前後が相場です。
しかしこれはあくまでシロアリを駆除し、今後の予防対策をする所までの費用相場です。
実際に被害にあった木材、床などの補強、修繕は別途追加費用がかかります。
とにかくシロアリ被害に合わないように、駆除依頼をしなくて済むように定期的な予防対策を怠らないようにしてください。
失敗しないシロアリ専門業者の探し方・選び方
シロアリ専門業者も千差万別です。
鉄則は1社だけでは判断しないこと。
その提示価格が相場価格と比べて適正範囲なのか1社だけでは素人には判断ができません。
まずは無料の床下調査をしてもらうのですが、その際の所作、自宅への配慮の仕方、調査結果の報告の方法や詳細さを確認してみてください。
シロアリ予防対策の大半は床下での作業で自分でその仕上がりをチェックすることはできません。
極端なことを言えば全く何もしていないものもやりましたと報告されてしまえばわからない可能性があります。
床下調査に来た方が、工事当日も作業者になるケースは非常に稀ではありますが、やはり一事が万事という言葉あるように、ある程度相関があります。
自分の目で信頼に足る業者だと判断する為にも、床下調査時になるべく観察することをオススメします。